コラム
2025/08/15 2025/08/20

交通事故の被害に遭ったら...。弁護士に相談すると何が変わるの?

 交通事故の被害に遭うことは、誰にとっても突然で衝撃的な出来事です。

 病院への通院に加え、仕事や生活の調整に追われる日々の中で、保険会社とのやり取りや示談交渉、後遺障害の認定など次々と専門的な問題に直面します。

 そんな時、多くの方が心の中でつぶやきます。
 「弁護士に相談した方がいいのかな…?

 しかし、いざ行動に移そうとしても、

保険会社に任せれば十分なのでは?
弁護士費用が心配...。
相談するほど大げさなことなのか?

といった、ためらいが頭をよぎり、最初の一歩を踏み出せない方は少なくありません。

交通事故の解決実績が豊富な弁護士が物語形式でご案内します。

 インターネット上には、「交通事故」と「弁護士」に関する情報があふれています。
 しかし、専門用語が並ぶだけでは、「結局、自分の場合はどうなのか?」という疑問が解消されにくいものです。

 そこで、本記事では、交通事故の被害者が抱えやすい不安や疑問を、3人の相談者と弁護士との会話という物語形式で解説します。

 物語形式にすることで

自分と重ね合わせて考えやすい。
〇難しい法律用語も会話として理解できる。

といったように、法律の内容が身近に感じられるのではないかと思います。

 ご自身の状況に重ね合わせて、是非、ご確認ください。

【注意事項:登場人物について】

 この物語に登場するAさん・Bさん・Cさんは、いずれも架空の人物です。
 しかし、その言葉や行動の背景は、これまで数多く寄せられた相談者の声をもとに再現しています。
 したがって、ここで語られる悩みや不安は、現実に多くの事故被害者が経験している「生の声」といえるのではないかと思います。


第一幕:法律事務所のドアを開けた3人

ある日の午後—。

 交通事故の被害者の3名が、それぞれの思いを胸にして、法律事務所を訪れました。

Aさん
(会社員)
追突事故。
保険会社に任せれば十分なのでは?
Bさん
(主婦)   
自転車事故。
弁護士費用が怖い…。
Cさん
(自営業)
バイク事故。
後遺障害の手続が複雑。時間もない。」


 3名を迎えたのは、交通事故に精通した弁護士。

皆さん、それぞれ
ためらいがあるようですね。
では順番に、
お話を伺いましょう!

弁護士

 


第二幕:Aさん「保険会社に任せれば十分?」

◆Aさんの声

 保険会社が全部対応してくれるし、提示額もまあまあ。弁護士は必要ないかなと…。

◆弁護士の答え

 Aさん、その“まあまあ”が落とし穴です。
 保険会社は、賠償額を「任意保険基準」で計算します。
 しかし、これは裁判基準(弁護士基準)よりも低い額であるのが一般的です。
 例えば、週3回の通院を6か月継続した場合、保険会社が算定する慰謝料の額は、およそ60万円台になるかと想定されます。
 しかし、裁判基準(弁護士基準)なら80万円前後になることがあります。

 Aさん「えっ、そんなに違うんですか?」

はい。
弁護士が介入するだけで、
交渉で用いる基準が変わり、
賠償額が大きく変わります。

弁護士

 

Aさん

 Aさんは、内心つぶやきました。

この提示額、
安かったんだ...。

むち打ちに関する慰謝料の基準は、「交通事故でむち打ち・・・。慰謝料はいくら?被害者が知るべき重要ポイントを解説。」もご覧ください。

第三幕:Bさん「費用倒れが怖い」

◆Bさんの声

 専業主婦なのですが、家事もできなくて困っています。
 でも、弁護士費用が高そうで...。

◆弁護士の答え

 Bさん、自動車保険に弁護士費用特約は付いていませんか?これがあれば自己負担ゼロで依頼できます。
 同居のご家族や別居中の未婚の子にも適用されることが多いんです。

 Bさんは、保険証券を確認し、目を見開きました。

 Bさん「...付いていました!」

着手金なしで
依頼できる事務所もあるので、
まずは相談されるのが
いいかと思います。

 さらに弁護士は続けます。

家事ができないことで
発生する家事休損も
賠償の対象
です
家事労働には
判例
経済的価値がある
と認められています。

弁護士

Bさん

 Bさんは思わず笑顔に。

家事にも
価値があるんですね!

家事労働に関する詳細は、「主婦・主夫も休業損害を請求できる?『家事休損』の意味と計算方法を弁護士が詳しく解説。」もご覧ください。

第四幕:Cさん「時間も手間もかけられない」

◆Cさんの声

 長期の通院で後遺障害も残りそう。
 でも、弁護士に頼んだら手間が増えそうで...。

◆弁護士の答え

 Cさん、それは逆です。
 弁護士はあなたの時間を守ります
 保険会社との交渉、資料収集、診断書確認も代理します。
 ぜひ、治療に集中してください。

 後遺障害は、診断書の書き方や証拠の揃え方次第。
 また、非該当でも、異議申立で等級認定される例もあります。

Cさん

 Cさんは大きくうなずきました。

それなら任せたい!

むち打ちの後遺障害で弁護士によるサポートの詳細は、「むち打ちの症状が長引くときに知っておきたい後遺障害等級のポイントを徹底解説」もご覧ください。

第五幕:弁護士が語る「相談が有効なケース」

 

後遺障害が残る可能性がある。
死亡事故で刑事裁判の対応も必要。
長期の入院・通院が必要。
過失割合に争いがある。
保険会社の提示額に納得できない。
弁護士費用特約に加入している。

いずれかに当てはまる方は、
ご相談されるのが
オススメです。

弁護士


第六幕:ご相談から解決までの流れ

① 初回相談(多くは無料)

□ 事故状況、治療の経過、後遺症の有無、保険会社とのやり取りをヒアリング。
→ 弁護士が現状を整理。
  今後の課題(後遺障害申請・過失割合・損害額)を一緒に検討。
□ 弁護士費用特約の有無を確認。
→ 費用の見通しを明確化。

② 委任契約書の締結

□ 依頼方針・報酬体系を説明。ご納得いただいたうえで契約。
→ 正式に代理人となり、保険会社との連絡・交渉を対応します。
→ 保険会社と直接やり取りをする必要がなくなり、心理的負担が軽減されます。

③ 資料収集・調査

□ 「交通事故証明書」、「診断書」・「診療報酬明細書」、「休業損害証明書」などを確認。 
□ 必要に応じて、医療照会を実施。後遺障害申請に必要な証拠も確保。
□ 事故態様(過失)に争いがある場合、刑事記録(実況見分調書など)やドライブレコーダーの映像などを収集・精査。

④ 治療の継続とアドバイス

□ 治療中は、保険会社から打ち切りの圧力がかかることもありますが、弁護士が保険会社対応を代理。

⑤ 症状固定・後遺障害申請

□ 治療が一段落した段階で症状固定(治療終了)と判断。
→ 症状が残っている場合、後遺障害申請をサポート。
  必要に応じて、異議申立まで行います。

⑥ 損害額の確定・示談交渉

□ 収集した資料をもとにして、裁判基準に基づき賠償額を算定。
→ 保険会社と交渉開始。
→ 「慰謝料」・「休業損害」・「逸失利益」などで適正な金額を主張します。
□ ご依頼者様は交渉ストレスから解放されます。

⑦ 訴訟(必要に応じて)

□ 交渉がまとまらない場合、訴訟提起。

⑧ 示談(和解)の成立または判決

□ 保険会社との交渉がまとまれば示談成立。
□ 裁判の場合には和解や判決によって賠償額が確定。

⑨ 解決

□ 無事に解決ができたのであれば何よりです。

解決までの流れは
案件により異なります。
しかし、早期相談が
スムーズな解決の鍵
であるのは共通
です

事故直後からのサポートで、
後遺障害認定・賠償交渉ともに
有利に進められる可能性
が高まります。

弁護士


Q&A:よくある疑問を解決!

Q1 相談はいつが良い?

 相談をするのか悩んでいるのであれば、その瞬間に相談するのがベスト相談は“問題を大きくする”のではなく、“安心を大きくする”ための第一歩です

Q2 弁護士費用特約がない場合は?

 事務所によって異なる報酬設定をしているため、一概に言えないですが、着手金がない事務所も多いかと思います。
 まずは、費用面の不安も含めてご相談されるのが良いと思います

Q3 相談だけでもいい?

 もちろんOKです。不安を整理するだけでも価値があります

Q4 保険会社の提示額が妥当か分からない...。

 弁護士に見てもらえば、裁判基準との差を説明してくれるはずです。


不安と解決策まとめ 

不安

弁護士が案内する解決策

1. 費用が高くて依頼できるか不安。

弁護士費用特約を確認。特約があれば、自己負担ゼロで依頼可能。

2. 保険会社が対応しているから大丈夫では?

保険会社は、任意保険基準で低めに提示。弁護士が介入すると裁判基準を用いるので賠償額が増額する可能性あり。

3. 相談するほど大げさではない気がする。

相談は問題を大きくするのではなく、安心を大きくする一歩。
事故直後・通院中など早期の相談が大切。

4. 交渉や手続が複雑で余計に時間を取られるのでは?

弁護士が交渉・資料収集・診断書確認を代理。
ご依頼者様は治療に専念できます。

5. 後遺障害が認定されるか不安。

弁護士が診断書確認・医師面談・異議申立まで行い、適正な等級認定の成功率を高めるように尽力します。


相談前チェックリスト:準備しておくと安心!    

チェック項目

ポイント

✅ 相手の氏名は分かりますか?

弁護士会の規程上、利益相反に該当する案件は相談ができません。
ご相談前に相手方の氏名を確認しておきましょう

✅ 保険(自動車・火災・共済)に弁護士費用特約が付いていますか?

契約内容を確認。家族の保険でも対象となる場合があります。

✅ 不安や疑問をメモしましたか?

相談時に漏れなく質問でき、ご不安が解消できます


— ためらいの先にあるのは「納得の解決」 —

 弁護士への相談をためらう気持ちはごく自然です。
 しかし、そのご不安は、相談を通じて一つひとつ解消することができます。

迷ったら、まず一度相談してください。
相談は“問題を大きくする”のではなく、
“安心を大きくする”一歩です。
一人で悩まずに、
是非、
声をかけてください。

投稿日:2025年8月15日
更新日:2025年8月20日


【この記事の監修弁護士】

弁護士 國田 修平
第二東京弁護士会所属
湊第一法律事務所・パートナー弁護士

依頼者と「協働する姿勢」と、法律用語を平易に伝える対話力に定評がある弁護士。
紛争の背景にある事情を丁寧にくみ取り、依頼者と共に解決への道筋を描くスタイルを貫いている。

<略歴>
愛媛県出身。明治大学法学部卒業。慶應義塾大学大学院法務研究科(既習者コース)を修了後、司法試験に合格。

全国展開の弁護士法人に入社し、2年目には当時最年少で所長弁護士に就任。その後、関東に拠点を移し、パートナー弁護士として、組織運営や危機管理対応、事務局教育などに携わる。労働法務・社内規程整備などの企業法務から、交通事故・相続・離婚・労働事件といった個人の法律問題まで幅広く対応。中でも、交通事故(被害者側)の損害賠償請求分野では、850件の解決実績を有する。
弁護士業務の傍ら、母校・明治大学法学部で司法試験予備試験対策講座の講師も務め、次世代を担う法曹育成にも力を注いでいる。

<主な取扱分野>
企業法務全般(契約書作成・社内規程整備・法律顧問など)
債権回収

交通事故などの損害賠償請求事件
労働事件(労使双方)

<弁護士・國田修平の詳しい経歴等はこちら>

© 湊第一法律事務所 交通事故専門サイト